2016年 12月 20日
蝉の絵と、<子供に絵を教えること、そこから生まれる可能性> |
この夏わたしはたくさんの昆虫たちを描いていました。(季節外れの投稿ですみません。)
ひらひら飛んでいる蝶を美しいとおもうことはあっても、子育ての中で、それまで全く興味がなかった、カブトムシやアゲハの幼虫達にも少しずつ興味が湧いてきたのでした。どうして、あの幼虫から蛹、そして成虫になるのか、不思議で不思議でたまりません。そして成虫の美しいこと!!
子供が幼稚園の頃から、ほぼ毎年、家の庭のライムにつくアゲハの卵を見つけて、家で観察しながら羽化させているのですが、夏は仕事をしていなかったこともあり、スケッチを続けました。
そして、ほかの昆虫も描きたいなあと思っていたら、家の前のコンクリにアブラゼミがお腹をみせて転がっていました。手に取るとまだ生きていて、最後のともしびの時間を描かせてもらうことにしました。
今まで、数かぎりなくアブラゼミは見てきましたが、まじまじ見ていると、なんて美しいのだろうとどんどん感激していきます。羽は、茶系の複雑なステンドグラスのよう、身体は歌舞伎役者がモノトーンメイクをしているよう、真っ黒に見える部分も、宇宙のなかの小さな星が描かれているように見えてきます。
そして思うのは、みんなが同じものを見ていても、同じようには見えていないということです。
わたしも、描こうとして初めて、蝉の細やかな美しさを見て感じることが出来たのでした。
昔、ドイツを一人旅して、塔の上で無理な姿勢でスケッチをしている時に、同じ日本人観光客に「写真とればすぐなのに」って言われたことがありましたが、一瞬で写真を撮るのと、スケッチして足を止めて見続けるのでは、あきらかに同じ風景を「見た」のではないのです。
どんなに短時間のスケッチでも、スケッチをした場所の空気や光はずっと忘れません。
絵を描くことで、人はたくさんの発見と感動を得ることが出来るのです。
良く見る…という力は、気付きであり、絵を描くということで、その力をも少しづつ、つけられるのではないかと思います。
人によっては、絵を描くことは自己表現で、安らぎの時間かもしれませんが、“観察”と”表現”・“創造”という手段を持つことが出来たら、絵で賞状をもらうとか、美術の成績があがる…などというより、もっとすごい未来が開けるかもしれないと思うのでした。
私は今さら、昆虫学者にも科学者にもなるわけはなく、ただ美しいと感じたもの達を絵に残し、共感してもらえば幸せで、絵描きの道を歩んでいます。が、多感な時期の子供は、月に2回の絵の教室でも真剣に取り組むことで、いろいろな可能性の扉を開くきっかけになるかもしれないと思います。
もちろん、小さい子には最初から”観察して描こう”なんていったらちんぷんかんぷんで、「絵は難しい、キライ」となったら困りますので、少しずつ「見る」ことと「表現すること」が出来たらいいので、最初は楽しむことが大切で、後は楽しみながら学んでいけるのが理想だと思っています。
by miwa-art-life
| 2016-12-20 10:55
| 子供アート教室
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